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種麹の老舗メーカー 今野商店の今野宏氏が講演

1月19日、株式会社 秋田今野商店の代表取締役社長で農学博士の今野宏氏による特別講演会を開催しました。テーマは「微生物とヒトとの関わり」について。

秋田今野商店は、秋田県大仙市刈和野にて日本酒・焼酎・味噌・醤油・みりん・鰹節などの発酵食品の生産に必要となる‟種麹”を製造販売している日本有数の老舗です。

生涯を通じて微生物を研究してきた今野氏は、地球の隅々に生息している微生物の発酵作用の働きにより自然界はうまく循環していると解説。日常私たちが口にするパンやチーズ、漬物などの発酵食品が菌によって作られているのはもちろん、抗生物質を造る菌やプラスチックを分解する菌も存在するなど、微生物は私達の生活に大きな恩恵をもたらしており、まさしく「ヒトは菌のおかげで」生きているようです。

今野氏は、第一次世界大戦中にトウモロコシを発酵させて火薬の原料となるアセトンを大量に供給することに成功し、イギリスの勝利に貢献したヴァイツマンを例に「彼は自分のやることが社会にどれだけ役に立つのかを考えていました。どうしたら人の役に立てるのか、これこそが人々の身体を作る食べ物を提供する栄養士にとって大切な意識です」と力説。さらに、「チャンスは準備された心に舞い降りる」という言葉を引き合いに、「栄養士として人々の健康にどう貢献できるのかという普段からの入念な観察と心構えが不可欠」と説きました。

まとめとして「世の中に体によいと言われるものはたくさんありますが、人の身体に吸収できなければ意味がありません。そのキーが発酵にあります」という見解を示し、栄養を管理していく上で日本食の英知を生かしてほしいと締めくくりました。

今野氏は本学の客員教授に就任しており、この4月から授業を提供します。
日本でも数少ない微生物研究者から学ぶ機会を得られるのは学生にとって貴重な経験となることでしょう。