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秋田栄養短期大学コラム「栄養と健康のちょっとイイはなし」
9.「規則正しい朝食のススメ -時間栄養学- 」岡部晋彦(准教授)
皆さんも「朝食はしっかり食べましょう」といったお説教を耳にした経験があると思います。これは生活のしつけ、といった意味合いだけではなく、栄養学的な根拠もあっての指導なのです。朝食は英語でbreakfastと言いますが、これはfast(空腹)をbreak(破る)ということから来ています。つまり睡眠中はご飯が食べられない状態で、朝には脳のエネルギー源である糖質が使い果たされており、それをきちんと補給することが特に糖質を消費する脳の働きを活発にするうえで重要だ、ということです。実際に朝食を摂取する、しないで学校の成績や自動車事故との間に関連があるという結果が示されています。
さらに近年では、そういった従来の栄養学的根拠に加えて、「時間栄養学」に基づいた根拠から「朝食をきちんと食べる」ことの重要性が示されています。例えば、全身の末梢組織にある体内時計は、食事摂取のタイミング、特に朝食の摂取時刻によって「時間合わせ」を行っており、きちんと朝食を食べることで体全体の活動が活発になること、また肥満と関連する遺伝子の働きが調節され、同じエネルギー(カロリー)を摂取しても肥満につながりにくいこと、などが明らかとなっています。意外なことに近年の日本人の平均的な摂取エネルギーは、戦後の1946年ごろに比べて減少傾向にあるのですが、肥満や糖尿病などに悩む方は増加しているという矛盾した調査結果があり、栄養学者なども解釈に困るときがありました。こういった現象も、朝食抜きの食生活に代表されるような不規則な食習慣が肥満や糖尿病につながる遺伝子に影響を与えることから説明できます。昔からのお説教にも意味があるよ、ということですね。
逆に従来の常識が当てはまらない知見もあります。日本人の、特に女性に多く見られる骨粗しょう症に対しては、牛乳などのカルシウムを豊富に含む食品を摂取することで予防効果が期待できるのですが、実はカルシウムの摂取は夕方にした方がより骨形成に利用されやすく、有効であることもわかっています。「牛乳は朝に飲む」というのが一般的な習慣だと思いますが、それよりも夕食に牛乳、乳製品を摂取したほうが良いですよ、ということになります。
これらはいずれも「時間栄養学」のほんの一部で、日々新しい発見が報告されています。秋田栄養短期大学の授業などを通じて、このような新しい栄養学を学び、それが皆さん方の健康につながることを目指して頑張っていきたいと思っています。
