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秋田栄養短期大学コラム「栄養と健康のちょっとイイはなし」
8.「コレステロールは悪者? -動脈硬化と栄養の話-」 岡部晋彦(准教授)
皆さんはコレステロールについてどのような印象を持っているでしょうか。「肥満している人に多い」「動脈硬化の原因になる悪者」というイメージがあるのではないでしょうか。確かにそれは誤りではなく、肥満している人は血中のコレステロールが高い傾向にあり、またいわゆる「悪玉コレステロール」であるLDL-コレステロールが過剰であると動脈硬化のリスクが高まります。
しかしコレステロールは本来我々ヒトが生きていくのに絶対になくてはならない物質です。よく知られているのが、ステロイドホルモンや胆汁酸などの合成材料となるということ、そして細胞の膜を構成する重要な成分であるということです。半ば冗談ですが、もし細胞の膜にコレステロールがないと、ヒトは体の形を保つことができず、アメーバのようなグニャグニャの体になってしまう、などともいわれます。そのような重要な物質であるため、ヒトは食事から摂取するよりも体内(主に肝臓)で合成するコレステロールのほうが多くなっています。具体的には食事からが2割、体内合成が8割くらいの比率です。そしてコレステロール合成の材料は油だけではなく、ご飯やパンなどの炭水化物、肉や魚などのタンパク質といったエネルギーになる栄養素はみなコレステロール合成の材料になります。そしてコレステロールそのものは、食べすぎると体内合成にブレーキがかかってコレステロールが増えすぎないように調節されます。そのためコレステロールを減らすためにコレステロールだけを食べないようにすることはあまり意味がなく、食事全体を控えめ(いわゆる「腹八分」)にすることが重要となります(ちなみに、日本人の食事摂取基準ではコレステロールの摂取基準は示されていません)。
さらに大切なことは、コレステロールそのものが動脈硬化の原因物質(アテローム)となるのではなく、活性酸素により酸化されたものが免疫系の作用を受けてアテロームとなるということです。つまり酸化を防ぐことが動脈硬化の予防につながるということで、抗酸化ビタミンといわれるビタミンCやビタミンE、β-カロテンなどを積極的に食べることが勧められます。
最後に生活習慣の改善のうち、コレステロール減少に最も効果があったとされるものは何か、ということを挙げておきましょう。これはイギリスでの研究なのですが、「外に出て日光を浴びる時間を長くする」ことが最もコレステロール減少に効果的だったのです。実はコレステロール合成の中間体である7-デヒドロコレステロールはビタミンD3の前駆体で、紫外線を浴びることでコレステロールにならずビタミンD3になるため、コレステロールが減少するのです。美容の面からも、動脈硬化の予防の面からも、積極的に野菜を食べて外に出て元気に体を動かしましょう!
